入居中(賃貸編)
借りた部屋が雨漏りします。修繕費は自己負担ですか?
  • 修繕義務は貸主にあります。
貸主にはお金をもらって部屋を貸す以上、日常生活に支障のない状態にして部屋を貸す義務があります。雨漏りの場合、日常生活に支障をきたしますので貸主に修繕義務がありますから、直ちに貸主又は管理会社に連絡をとって修繕をしてもらいましょう。万が一、貸主が修繕をしてくれない場合は、借主が修繕し修繕費用を貸主に請求することができます。ただし、借主の不注意によって損傷を与えた場合は、借主に損害賠償等の責任が生じます。 また、借主には修繕が必要な欠陥を発見した場合、貸主に報告をする義務があります。報告をしなかったために、欠陥が大きくなって損害が発生した場合には、損害賠償を請求される恐れがありますので注意してください。
隣室の騒音を止めさせるにはどうすればいいですか?
  • 大家さんや管理会社から注意してもらいましょう。
騒音は賃貸・分譲を問わず非常にトラブルになるやすい問題です。特にアパートやマンションでは何人もの人が一つの建物に生活をしていますから、生活習慣の違いなどからトラブルに発展することがあります。生活をしていく上である程度の騒音は仕方がありませんが、明らかに通常の生活音を超える騒音に関しては我慢も限界があります。抗議をして騒音が止めばいいですが、実際はなかなか難しいようです。そのような時は、貸主や管理会社から注意してもらいましょう。貸主は借主に対し、貸室を使用収益させる義務があり、その為に対策を講じる責任があります。具体的にいいますと、明らかに通常生活の範囲を超える騒音に関しては、貸主は問題の住人に対して騒音を出さないよう注意するなり何らかの働きかけをしなくてはならないということです。 貸主が何も対策をとらずに放置した場合には、貸主に対して損害賠償の請求をすることもできると考えられます。なお、貸主や管理会社に騒音の状況を訴える際に、騒音の程度をメモしておいたり録音しておくとより正確に情報が伝わり対処方法にも影響しますので、記録はしっかりとっておきましょう。
家賃を一ヶ月滞納してしまいました。契約書には「家賃の支払いを1回でも怠った場合、催告なしに契約を解除できる」とありますが、契約は解除されますか?
  • 一般的に1回の不払いでは契約解除はできません。
借主が家賃を支払うのは当然の義務です。しかし、一般的に契約を解除できるのは、一定期間を定めて、その期間内に家賃を払うように催告したにも関わらず、家賃が支払われなった場合とされています。賃貸借契約においては、当事者間の信頼関係が破壊されているかどうかも重要な要素となるというのが判例の考え方です。つまり、信頼関係が破壊されたとみなされない限り、貸主からの一方的な契約解除はできないということです。 また、契約書上「催告なしに契約を解除できる」となっていた場合でも、判例では「催告なしでも不合理と認められない事情がある場合」のみ有効とされています。しかし、このような判例があるからといって、当然ながら家賃の滞納を認めている訳ではありません。必ず家賃は期日までに支払いましょう。
大家さんから一方的に家賃の値上げを要求されました。値上げに応じなくてはいけませんか?
  • まずは大家さんとよく話し合いましょう。
法律上、次のような場合には当事者は家賃の増減を請求できるとされています。
  1. 土地又は建物の税金やその他負担の増減により家賃が不相当になった場合
  2. 土地又は建物の価格の増減やその他の経済事情の変動によって家賃が不相当になった場合
  3. 近所の同等の建物の家賃と比較して不相当となった場合
原則として、家賃は貸主と借主の合意によって決定しますが、合意できなかった場合はまず調停をおこすことになり、それでも結論がでない場合は訴訟により家賃が決定されます。
新しい家賃が決定するまでの家賃ですが、法律で借主は「相当と思われる額」を支払えば足りるとされています。この「相当と思われる額」とは一般的にそれまでの家賃と考えられます。但し、支払っていた額が新しく確定した家賃に満たない場合は、不足分に年1割の利息を加えた金額を支払うことになります。 また、借主が「相当と思われる額」を支払おうとしても、貸主に受け取りを拒否される場合があります。貸主が受け取りを拒否しているからといって、家賃の支払い義務がなくなる訳ではありませんので注意が必要です。家賃の不払いを理由に契約解除されないためには、口頭の提供(家賃をいつでも支払えるよう準備をして、貸主に受領するように催告すること)をした上で、「相当と思われる額」を法務局に供託(「相当と思われる額」を法務局に預けること)しておきましょう。
契約期間の満了をもって大家さんから更新しないとの通知がありました。この場合、立ち退かなくてはいけませんか?
  • 貸主に正当事由がない限り、契約を更新することができます。
普通借家契約では、貸主が契約期間の満了をもって更新を拒絶するには、更新を拒否するのが正当だと認められる理由(正当事由)が必要となり、正当事由がない限り借主が望めば契約は更新されます。例えば、大家さんが特別な事情もなく息子夫婦を住まわせたいために、更新を拒否したとしても、正当事由にはあたりません。 また、正当事由が認められる場合でも、貸主が契約期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に借主に対して契約更新をしないことを通知しなかった場合は、従来の契約と同じ条件で(契約期間については定めのないものとなります)更新されたとみなされます。 但し、定期借家契約の場合は、正当事由の有無に関係なく、期間満了をもって契約は終了となりますので更新はできません。
今月は出費が多くて家賃が払えません。契約時に預けた敷金と相殺できますか?
  • 借主から敷金を家賃にあてるよう請求することはできません。
敷金とは借主が家賃を滞納したり、不注意等によって部屋に損傷を与えたりした場合、修繕費用や損害賠償金などを担保するために貸主に預け入れるお金です。したがって、入居中の借主からの求めに応じて敷金を家賃にあてますと、その後の滞納家賃や修繕費等の担保がなくなってしまいますので、借主から敷金を家賃にあてるよう請求はできないのです。 なお、退去時に滞納家賃等があるときは、敷金から差し引かれることになります。